日々是口実 プロトコールマナーの誤解について
プロトコールは国際的マナーではなく、国家間の儀礼の事で、国際マナーのことではない。
国際的マナーとプロトコールが混同されて語られることが多いようですが、実は違います。プロトコールを日本語に訳すと「国際儀礼」なのである。国際的なという部分はあっていますが、マナーではなく儀礼なのです。マナーは「社会的に望ましいとされる約束事に沿った言動や態度」という意味であり、これが正しいという決まった行動様式があるわけではありません。「他者を気遣う」という気持ちを所作として形式化し、わかりやすくしたものがマナーです。プロトコールは国際儀礼なのです。
プロトコールの間違った使われ方
2017年新年から上記にょうなニュースが話題になりました。国際的マナーではノックは3回だということが書かれています。
世界共通のマナーがあるのをご存じですか?
これを「プロトコールマナー(国際基準マナー)」と言います。
誤用の典型例です。「プロトコール」は国際社会での公的な関係、公的な場・行事、公的な地位・官職に関する規則や慣例のことであり、条例・法令などで公に決まっている事項もあります。
一方で、上記の記事にあるようなノックなどはエチケットにあたる所作と考えられます。「エチケット」はヨーロッパ宮廷で行事を紙「エチケット」に書き留めたところに由来し、予定表=「宮廷で行われること」から「宮廷でどのように行われるか」に意味が変遷したとされています。
ノックの決まりがあるとしたら、「エチケット」に当てはまり、「プロトコール」ではありません。また、「プロトコール」を「国際基準マナー」と表現することも大きな誤解を起こすものと考えられます。
ノックの回数にマナーとして、日本で決まりはあるのか?
マナーとは「社会的に望ましいとされる約束事に沿った言動や態度」であり、こうでなくてはいけないという形式のものではありません。
もし、就活で企業訪問し、ノックが2回だったために退室させられたなんてことがあれば、その企業は固定観念にとらわれており、柔軟な判断ができない企業だと思って間違いありません。間違っても入社してはいけません。
ノックは1回では相手に気づかれない可能性があるため、複数回ノックを行うのです。回数は決まっていません。和室で、いきなり部屋に入ってこられては困るために襖を少し開けた後にもう一度大きく開けるのも同じ所作です。
妙な言説に騙されずに、相手を気遣うことこそが最も大切なマナーです。マナーを学ぶのも良いですが、相手をよくみるよう心がけることも忘れずに行いましょう。